医療法人ERC 海老名呼吸器科クリニック Ebina Respiratory Clinic

病気のはなし

遷延性咳嗽(長引く咳)

gaisou.jpg 咳とは本来、気道に入った異物や病原体を外に排出しようとする体にとって必要な防御反応です。しかし咳はとてもエネルギーを使うので、咳が長引くとそれだけで体力を消耗してしまい疲れます。体のあちこちの筋肉痛を引き起こしたりひどいと肋骨の疲労骨折を引き起こすことも珍しくはありません。それだけでなく、場合によっては病気を周囲に広めてしまう危険性もある、厄介な病態です。
 一般に8週間以上続く咳を慢性の咳嗽(せき)としてその原因を分類し診断治療をすることになっていますが、咳は2週間も続くとかなり体には負担です。
 長く続く咳の原因は多種多様です。呼吸器疾患とそれ以外の疾患、呼吸器疾患の中でも感染性の疾患とそれ以外。それらの多くを見極めるのは困難ですが、その方の症状の特徴等から検査を進め診断をつけていきます。時には治療を行いその反応から診断をする「診断的治療」を行うこともあります。
 呼吸器疾患の代表は感染性の咳です。いわゆる風邪・咳風邪といわれ、各種病原体の感染が原因で起きてきます。風邪はインフルエンザやRSウイルスなどが代表のウイルスの感染でおきます。もちろん咳のない風邪もありますし、咳だけで来る「咳風邪」も多いです。ただの風邪の後にやたら長引く咳を「感冒症候群後慢性咳嗽」なんて長ったらしい病名をつけたりもします。
 ウイルス以外で長引く咳で気をつけなければいけないのが、マイコプラズマ肺炎肺炎クラミジアといった病原体。また最近多いのは成人の百日咳も増えています。
 細菌では、肺炎球菌黄色ブドウ球菌などの多くの菌が呼吸器に感染し一部は長引く咳を引き起こすこともあります。
 最近また増えつつある、結核非結核性抗酸菌症といった特殊な菌も注意しなければなりません。
 感染症以外では、やはり肺癌は気をつけなければいけませんし、気管支喘息慢性閉塞性肺疾患気管支拡張症間質性肺炎など特殊な肺炎など、殆ど全ての呼吸器の病気は咳を起こす可能性があるといっても過言ではありません。
 呼吸器以外で代表的な咳を起こす疾患は、やはりアレルギー性の咳です。近年のアレルギー疾患の増加で、アレルギーを心配される方も多いです。花粉症に併発する咳や一定のアレルゲンに反して起こる咳。正式にはアトピー性咳嗽と呼んでいます。また気管支喘息もアレルギーによる疾患ですし、咳喘息という、特殊なタイプの喘息もあります。
 それ以外では、耳鼻科領域で慢性副鼻腔炎などが原因で起こる後鼻漏という病態や、胃食道逆流症という病気でも咳が出ることもあります。また一部の高血圧のお薬でも副作用で咳が続く場合もあります。
長引く咳で受診された場合、上記の疾患等を念頭に問診をした上で、必要に応じ検査を進めていきます。レントゲン検査は、基本的な大事な検査。重篤な呼吸器の病気の多くはレントゲンで異常が出てきます。レントゲン検査の結果、必要に応じて、胸部のCT検査を行うこともあります。
 採血も重要な検査です。炎症反応や各種抗体検査、アレルギー性の咳が疑われるときはアレルギー検査も行います。
 喘息や慢性閉塞性肺疾患などを疑うときは、スパイロメトリー、いわゆる肺活量検査も大事な検査になってきます。
 胃食道逆流症が疑わしいときは胃カメラを行うこともあります。
咳喘息を疑うときは、検査所見で異常が出るときは少ないので治療の効果をみて診断する「診断的治療」を行うこともあります。
 咳の治療は、これらの診断に基づいて行います。治療期間が短くて済むもの、長く治療を続けなくてはいけないもの、何度も繰り返し治療する必要があるものまで様々です。
咳は長引くと体力が消耗し疲れきってしまうもの。それだけでなく病気を回りに広めてしまう危険もあります。きちんと診断し適切な治療を受けましょう。