医療法人ERC 海老名呼吸器科クリニック Ebina Respiratory Clinic

病気のはなし

睡眠時無呼吸症候群

GUM06_CL04060.jpg 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に繰り返し起こる呼吸停止と、日中の強い眠気などを特徴とする睡眠障害の1つです。多くの場合、上気道(のどのあたり)が閉塞してしまって呼吸がとまってしまう、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(以下OSAS)です。
 睡眠中に呼吸がとまってしまうので、低酸素状態になるので、血圧の上昇や不整脈、心不全などを合併し、動脈硬化も促進され、生命予後の悪化につながることが証明されています。
 また睡眠中に無呼吸となって、途中で無意識に覚醒してしまうので、十分な睡眠が得られず不眠や熟睡感の欠如日中の強い眠気を起こしたり、注意・集中力が低下するので、作業能率が落ちたり交通事故や労働災害の原因にもなり、社会的に問題になることもあります。
 起きている時は、上気道や舌の筋肉の緊張が保たれ、上気道がきちんと開いて空気を通していますが、睡眠中はこの緊張がとれて緩んで狭くなり、気道をふさぐ傾向になってしまいます。OSASは原因の7割が肥満といわれており、肥満でもともと狭くなっている上気道が、睡眠によって狭まってしまい、上気道の閉塞につながるのです。
 閉塞しかかった上気道を空気が通る際、喉の周りの肉をビブラートして出る音が、「いびき」です。ですからOSASのもっとも特徴的な症状は「いびき」です。そしてその後に引き続いて「呼吸停止」がきます。
 周りの方から、「いびきのあと呼吸が止まっている」といわれればOSASの疑いが強いです。それらに加え、熟睡した感じがしない、起きたとき疲れが残っている、日中に眠くて仕方が無い・・・・こういった症状のあるときはなおさら検査を受けたほうが良いでしょう。
 OSASの検査は、2通りあります。自宅で、睡眠時に機械をつけて呼吸停止や酸素濃度を一晩測定する「簡易検査」と、入院施設で上記に加え、脳波や心電図も測定する「ポリソムノグラフィ」という検査です。当院ではまず簡易検査を受けて頂き、その結果必要と判断した場合は、入院検査を手配いたします。
 OSASの治療はいくつかあります。まず肥満例で高度の場合、肥満を解消することで改善が期待できますので努力して頂きます。
 薬物療法は、ダイアモックスという薬剤が1種類だけ保険認可がおりています。しかし効果は高くなく、軽症例で一部の方のみしか効かないといってよいでしょう。
あごが小さい方や、後ほど述べるCPAP療法が使えない人には、マウスピースを使うことがあります。歯科に依頼し、あごを前に出すようなマウスピースをつけて寝て頂きます。これも効果は人によりまちまちな部分があります。
 手術療法で、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術という方法などがありますが、これも評価が定まっていません。
現在、ある一定以上の重症度の方で確実に症状を改善できる方法は、CPAP療法という方法です。これは小型の人工呼吸器のような装置をつけて寝て頂く方法です。マスクを鼻に密着させて呼吸にあわせ強制的に空気を送り込む方法です。閉塞したところを圧で空気を送るので睡眠中は楽に空気が入ってきて呼吸を補助します。
 当初はマスクや圧の違和感がつよいのですが、上手くフィットするといままでにない熟睡感が得られ、旅行や出張にももって行きたくなる方も多いです。
 これは保険適応の医療器械のリースですので自己負担は比較的少なく使えます。3割負担の方で診察料とあわせ月に約5,000円くらいです。但し、保険適応になるには毎月の通院が必須です。ご自宅でCPAPを使用したまま通院なされないと、機械を引き上げることもございますので注意が必要です。
 CPAPが上手くフィットした方は、大げさに言えば人生が変わった、くらいの改善が得られます。いびきや睡眠中の無呼吸があり、起きた時の疲れが抜けなかったり日中眠くて仕方が無いといったかたは一度ご相談下さい。



参考文献
「成人の睡眠時無呼吸症候群 診断と治療のためのガイドライン」睡眠呼吸障害研究会