
インフルエンザとは、A型もしくはB型の
インフルエンザウイルスが呼吸器に感染することによって起こる病気です。ウイルス感染によって発熱などの症状が出る点では普通の風邪と同じですが、他のウイルス感染による普通の風邪と違うのは、症状が重く
重症化することがあり、
伝染力が強く短期間で多くの人が感染してしまうという事です。
特に慢性の呼吸器疾患(喘息やCOPD,気管支拡張症など)や循環器疾患(心不全や弁膜症、心筋梗塞の後の方など)、糖尿や慢性腎不全、その他免疫状態の低下している人に感染すると、インフルエンザに加え、
基礎疾患も悪化させてしまう心配がありますので注意が必要になります。
症状としては、1~2日程度の潜伏期間の後、
急に来る高熱や、頭痛やのどに痛み、咳などに加え、強い倦怠感や
筋肉や関節の痛みといった全身症状がきます。普通の解熱剤はあまり効かず、むしろインフルエンザ脳症の可能性もありあまり使えません。抗インフルエンザ薬の無かった頃は、1週間は寝込むという病気だったのです。
現在、簡易診断キットというのが普及していて、A型かB型かはわかるようになり、抗インフルエンザ薬も出てきて比較的早く対処すれば早期に解熱し合併症も少なくてすむようになって来ています。
一番有効な予防法はワクチン接種です。しかしワクチンも
完全ではありません。インフルエンザの問題点の一つは毎年流行するタイプが異なるのです。これはウイルスが少しずつ変異を起こすためです。ワクチンはそれまでの流行から、次の年の流行を予想して作られます。通常、A型が2タイプ、B型が1タイプを予想して一つのワクチンとしています。しかし予想が外れることもあり、完璧ではないのです。けれども完全に感染を予防できなくても、かかったとしても
重症化を防ぐ可能性もあるので、接種するようにしましょう。
ワクチンは、13歳以上は1シーズンに1回接種、13歳未満は免疫をしっかりつける目的で2回接種をおすすめします。13歳以上でも、受験などで免疫をしっかりつけたい場合は2回接種をしてもいいでしょう。接種後2週間ぐらいで効果が出て、約5ヶ月持続するといわれています。
また手洗いとうがい、マスク着用という基本的なことをしっかり守れれば、それだけでも予防効果は高まります。
抗インフルエンザ薬として、内服薬(
タミフルなど)や吸入薬(
リレンザ)があり、またいくつかの新薬も開発されつつあります。発熱期間を短くし、症状を早く楽にしてくれ、合併症のリスクも減ります。しかし因果関係ははっきりとはしませんが、異常行動などの副作用が問題で、10代の未成年者にはタミフルという薬は原則投与できません。
また
耐性化といって、ウイルスが薬に強くなってしまい、薬が効かない事もおき始めています。全世界の7割ぐらいのタミフルを日本が消費しているという事実も見つめ直し、薬だけに頼るのも問題があるかもしれません。
仕事や学校を優先して薬だけに頼り、発症後2,3日で普通の生活に戻る方がいます。しかし無理をすれば再燃してもっと悪くなり
合併症が起きたり、まだウイルスの排出が続いていて周りに
感染を広めたりします。本来インフルエンザは、かかったら1週間は寝込む病気ですから、薬を使っても体を休め
療養が必要な病気と理解してください。
豚や鳥インフルエンザといった新型インフルエンザは、それまでとは違った毒性や伝染力、合併症の発生率などのため、警戒されます。毒性が強かったり、感染性が強ければ、多くの人が短期間に重症となる点で問題となります。従来型のワクチンは効かないのですが、「新型」が出てからそのタイプに効くワクチンが開発されるまで時間がかかることから予防策が限られることも問題の一つです。しかし予想では従来の抗インフルエンザ薬が有効と考えられており、また以前の「パンデミック;大流行」のときとは社会インフラの整備や医療技術が向上しているので昔のように大量の死亡者が出る事態にはならないのではという意見もあります。しかしかといって未知数の部分も多く、備えるに越したことはありません。大切なのは個々がきちんと
咳エチケットなど予防に注意を払い、情報を理解し、冷静な判断をする事でしょう。
きちんとした手洗いやうがいなどを励行し、流行期には不要不急の人ごみは避け、食生活・生活習慣で無理をせず病気にかかりにくい体にするよう心がける。それでもインフルエンザにかかってしまったら、きちんと薬を使い、しかし過信をせず
安静療養をまもり無理せず体を休める。ひとりひとりの冷静で適切な判断・行動が、インフルエンザ対策のポイントといえるでしょう。