
いまや国民病と言われるほど毎年多くの方が悩まれる疾患です。年々患者数は増えているといわれています。遺伝的要因に加え、昨今の高気密な住宅環境、大気汚染、多くの化学物質などの環境因子なども関与していると言われておりますがはっきりとした原因はわかっていません。
花粉症は、花粉によって起こされる「
アレルギー性鼻炎」を指します。スギ花粉など特定の花粉によって特定の時期に起こされるものを花粉症といい、別名、
季節性アレルギー性鼻炎といいます。一方、スギ花粉だけではなくさまざまなアレルギー原因物質;アレルゲンによって、1年中症状があるものを
通年性アレルギー性鼻炎といいます。
花粉症の代表的なアレルゲンは、春は
スギや
ヒノキ、夏はイネ科の
ハルガヤや
カモガヤ、秋は
ブタクサや
ヨモギなどで、冬はアレルゲンとなる花粉は少ない時期です。症状は、
くしゃみ・水のようなさらっとした鼻水・鼻づまりです。
それに加え、目のかゆみが多いですが、喉や口の中のかゆみ、皮膚のかゆみに、人によっては咳が出る方もいます。
診断は症状や、症状の出る時期でほぼわかります。アレルゲンを特定するためにはいくつかの方法がありますが、当院では、採血によって「
特異的IgE」を測定することによって、原因となるアレルゲンを調べます。原因のアレルゲンによって治療法が代わることはないですが、通年性か季節性か、またいつの時期なのかを把握することにより、薬を飲む時期やタイミングなどを知ることができます。
スギ花粉だけと思っていたら他の花粉やアレルゲンもあったり、以前に比べると反応が強くなっていたりします。ですから漠然と「スギの花粉症だ」と決め付けず、アレルギー検査をお受けすることをお勧めします。また5年たつとアレルゲンも変化するとも言われますので、以前の検査が昔であれば再度検査を受けましょう。
花粉症を完全に治すのはとても難しいです。理論上完治を望めるのは、減感作療法といわれる方法で、原因となるアレルゲンのエキスを注射する方法ですが、週1回~月1回の注射を数年続ける必要があり、また有効率も報告によっては半分くらいといわれています。鼻の粘膜を焼く方法は耳鼻科的にやられている方法で重症例には有効でしょう。ステロイドの注射という方法もやられていますが、副作用が出た場合重篤となるので当院では行っていません。
当院での治療は薬物療法が中心となります。飲み薬は、アレルギー反応で鼻や目などの粘膜に作用する、
ヒスタミンや
ロイコトリエンといった化学伝達物質の働きを阻害する薬物を使います。また重症の場合は
ステロイドの飲み薬も短期で併用する場合もあります。またくしゃみ鼻水といった症状と、鼻づまりの症状では作用する化学物質が多少異なるので、症状によっては
2種類ぐらいの飲み薬を併用したほうが効果が高いことがあります。
点鼻や点眼薬を、飲み薬に併用することでさらに効果は高まります。点鼻薬はほとんどがステロイドの外用薬ですが、少量で鼻の局所に使うので副作用はあまり気にしなくてよく、場合によっては点鼻薬だけで症状が治まる場合もあります。
飲み薬は、花粉のシーズンが始まる
2週間ほど前から予防的に飲み始めると、症状が出てから飲むより、症状が軽くなることがわかっています。
アレルギー検査などでご自分の花粉症の時期を把握していれば、早めに内服することで
楽にシーズンを過ごすことができます。
花粉症の最大の予防は、アレルゲン、花粉との接触を防ぐことです。シーズンが来れば花粉の無い地域に移住できれば理想ですが、もちろん現実的ではありません。
花粉の時期はできるだけ室内に花粉を入れないよう、換気に気をつけたり、布団や洗濯物は乾燥機などを使うか、干したあとはよく叩いて花粉を落としてから室内に取り込むようにしましょう。出かける際は、花粉がつきにくい服装を心がけてください。素材はウールやニットではなく、表面がつるつるとした化学繊維のものがよいでしょう。帽子も、髪の毛に花粉が付着するのに有効です。めがねは、ゴーグルのようなものが理想的ですが、普通のめがねでも花粉が直接目に入る確率を減らしてくれます。マスクも鼻に入る花粉を減らしてくれますので有効です。
花粉症を治すというのはなかなか難しいのです。ご自分の症状を把握し、薬を効果的に使ったり、予防法を工夫して、快適にシーズンを乗り切りましょう。
参考文献 「アレルギー疾患 診断・治療ガイドライン2007」社団法人 日本アレルギー学会 編